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相談室で断るための言い方を、行く前に三つ用意しておく
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言葉に詰まったのは意志が弱いからではなく、言う中身を用意していなかったからだった。行く前に三つだけ作っておく言い方と、それを出す場面を順番に置いていく。
断る言葉は行く前に三つ紙に書き、家を出る前に一度ずつ口に出しておく
理由は書かない。結論の一行だけを用意すると会話が枝分かれしない
威迫や困惑は法第44条の禁止行為だと消費者庁のガイドは書いている
断り方は、その場の勇気ではなく準備で決まる
相談室で言葉に詰まるのは、意志が弱いからではありません。言う中身を何ひとつ用意しないまま、その場に座っているからです。
目の前で説明を受けている最中に、断る文章をゼロから組み立てるのは難しいことです。相手は毎日その説明をしていて、こちらは初めて聞く側なので、速さが最初からそろいません。
前日から帰り道まで。言う中身を決める時点と、実際に口に出す時点を分けて置いた。
だから、行く前に言い方を三つだけ作っておきます。長い理由はいりません。理由を足すほど、その理由への答えが返ってきて、会話が長くなります。
ここで扱うのは、契約しないと決めた人が使う言葉だけです。医師の説明そのものを断る話ではありませんし、体に合うかどうかの判断は、読む人と医師のあいだに残ります。
無料カウンセリングに一度行き、その場では契約していません。施術は受けていないので、効果の話はここには書けません。
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一つめ「今日は決めないと決めてきました」
一番目に用意するのは、これから起きることをこちらから先に置く言い方です。相談が始まってすぐ、料金の説明に入る前に一度言っておくと、あとがずいぶん静かになります。
「決めない」ではなく「決めないと決めてきました」にするのは、迷っている途中ではないと伝えるためです。迷いは相手が動かせますが、済んだ決定は動かしにくいものです。
これを最初に言えないまま、見積の紙が出てから言おうとすると、そのころには説明が進み、割り込む場所を探しているうちに時間が過ぎます。
言う場所も一緒に決めておきます。名前や希望を聞かれたあと、料金の話に入る手前が、口を開けやすい空白のひとつです。クリニックによって呼び方も順番も違います。
二つめ「持ち帰って読みます」
一つめを言っても話が続くことはあります。そのときのために、紙を受け取って帰るという行き先を示す言い方を、二番目に置いておきます。
この言い方は、断りというより次の手順として聞こえます。相手にとっても渡すものを渡す形になるので、押し合いになりにくくなります。
契約のときに書面を交付することは、消費者庁の特定商取引法ガイドに法第42条として挙げられています。相談の場で受け取る紙はそれとは別で、読むために持ち帰るものです。
持ち帰ると言ったあとに何を読むのかと聞かれても、答えは短くてかまいません。金額と回数と、途中でやめるときの条件、と三つ挙げれば足ります。
三つめ「同席者に見せてから返事します」
三番目は、返事の期限を自分の外に置く言い方です。同席者は家族でも友人でもかまいません。実際に見せるつもりのある相手を、行く前に一人だけ決めておきます。
これは嘘をつくための言葉ではありません。紙を見せる相手を先に決めておけば、そのとおりに実行することになり、言ったことと帰ってからの行動がそろいます。
用意しておく相手は、その日の夜に会う予定のある人が向いています。誰に見せるかまで決めておくと、口に出すときに声が小さくならずに済みます。
三つは順番に使います。一つめで済むこともありますし、二つめまでで終わることもあります。三つ全部を使い切らずに終わる場合もあります。
三つを紙に書いて、行く前に声に出す
頭の中で覚えていくと、順番が入れ替わったり、丁寧にしようとして長くなったりします。紙に一行ずつ書いて、鞄の外側のポケットに入れておきます。
家を出る前に、三つを一度ずつ口に出して読みます。黙読だけだと、相談室で初めて自分の声で言うことになり、その一回目でつまずきやすくなります。
上から順に使う。一つめで終わることもあり、三つ全部を使い切るとはかぎらない。
書くときは、理由を書きません。理由を書くと本番でも理由を言いたくなり、そこから会話が枝分かれしていきます。用意するのは結論の一行だけでかまいません。
今日は決めないと決めてきました。料金の説明に入る手前で置く一行で、最初の空白に差し込みます。
持ち帰って読みます、と伝えます。見積の紙を受け取った手がまだ動いているうちに、そのまま言葉にします。
同席者に見せてから返事します。その場で答えを求められたときに、期限を外に置くために使います。
断ることは、法律の側にも書かれている
消費者庁の特定商取引法ガイドは、契約を締結させるため、または解除を妨げるための威迫や困惑を、法第44条の禁止行為として挙げています。
これは、断る側が置き去りにされていないことを示しています。言い方を用意していくのは、相手と争うためではなく、その場で言葉を探さずに済ませるためです。
同じガイドには、期間が1月を超え、かつ金額が5万円を超える美容医療が、特定継続的役務提供にあたると書かれています。あてはまらない契約もあります。
出典=消費者庁 特定商取引法ガイド「特定継続的役務提供」。エステティックも同じく1月を超え、かつ5万円を超えるものが対象。
条文を相談室で持ち出す必要はありません。知っておくのは、断ることが例外的なふるまいではないと、行く前に自分の側で確かめておくためです。
それでも言えなかったときのために
用意しても言えないことはあります。一つめを出す場所を逃すこともあります。そのときのために、最後の逃げ道を一つだけ決めておくと、部屋の中で行き止まりになりません。
決めておくのは、判断がつかなくなったら時計を見て、次の予定があると言って席を立つことです。予定を本当に入れておくと、言うときに迷いが出ません。
最後の一段は席を立つこと。次の予定を本当に入れておくと言うときに迷いが出ない。
帰ってから読み直して、それでも受けたいと思えば、また行けばかまいません。断る言葉は、拒む言葉ではなく、決める時間を後ろにずらすための言葉です。
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